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コンセプトアートとは?

こんにちは。KLab株式会社クリエイティブ R&DグループのYojiと申します。

コンセプトアートとは何かご存知でしょうか?

ゲームの魅力となる世界観を支えるとても重要なアートで、クリエイターの脳内にあるイメージを具現化し人に伝える手段でもあります。
ゲーム制作の初期フェーズは、大抵の場合コンセプトワークからスタートします。
企画を元にコンセプトを体現したアートを制作しゲームの世界観を構築していきます。
コンセプトアートは、ゲームの世界観をイメージとして直接表現され、商品の魅力やオリジナリティへと繋がるので、妥協が許されないとても大事な役割を担います。

他にも、チームメンバー同士が同じビジョンを共有・同意し、同じ方向に向かって進んでいける道しるべとしての役割も持ちます。
コンセプトアートはそのような重責を担う部分でもあるので、ゲーム業界ではコンセプトアートを描く人がアートディレクターを務めるケースも多いです。

これからアートディレクターを目指したいと思われている方は、コンセプトアートに取り組む事もキャリアを実現する道になるかもしれません。
たとえアートディレクターを目指さなくても、コンセプトアートはゲーム制作においてオリジナルの価値を創る重要な部分でもあるので、練習しておいて損はないと思いますし、色々考えて絵を描くのはなにより楽しいですよね!

コンセプトアートをどのように制作していくか、ユーザーの皆様に世界観の魅力をどう伝えるか、少しでも参考になればと私なりの取り組み方等を紹介していきたいと思います。

コンセプトを考える

実際のゲーム制作では、プランナーがいて企画書の元でコンセプトアートを制作するケースが多いかと思います。プランナーが明確なイメージを持っている事もあるかもしれませんが、この時点では誰も明確なイメージを持ていない事がほとんどですし、イメージの共有は出来ていません。

イメージが何もない状態からイメージを形にし、創っていく事がコンセプトアーティストの役割なので、企画者やメンバーとコミュニケーションをとりながら、世界観のキーワードを固めたりアイディアを提案したりと、受け身にならないよう自ら発信していくスタンスで取り組む事が、いいアウトプットに繋がるかも知れません。

企画者に対して質疑応答となってしまったり、細部まで決まらないと何を描いていいのか分からないといったケースになりがちなので、自身で世界観を創っていくんだ!というくらいの、強い意思を持った姿勢で居たいと私は常に考えています。

もう一つ、ボツは気にしない!1度で答えを出せる優秀な方も沢山おられますが、ボツを気にせず何枚も積み重ねて模索した中から、光るピースを集め徐々に世界観を固めていきたいとも考えています。
映画のコンセプトアートも、何ヶ月間もかけて大量のアイディアラフからビジュアルを固めたりしてますよね。ハリウッドの大作映画ほど予算を掛けれないですが、限られた中ででも積み重ねて模索する事は大事なのかなと思います。

イメージを創る

コンセプトをどのように考えイメ―ジを固めていくか?この世界はどういう存在で何を伝えたいのか?作例を使用して1枚のコンセプトアート完成までの説明していきたいと思います。

今回の作例では、魔法が世に生まれたばかりの魔法創世紀の話し、魔法という革命的な存在が地球に重大な影響を及ぼす、アントロポセンの終焉を描くという設定がありました。
設定から、魔法が影響を与えている終焉が近い世界とはどういった世界なのかのイメージを膨らませ、コンセプトアートで表現したいキーワードを整理し広げていきます。

魔法が大地に影響を及ぼしている

  • 制御を失った力の存在
  • 魔法が地球の在り方を変えつつある。

アントロポセンの終焉

  • 人類活動の終焉
  • 終焉を象徴するような存在
  • 地球は活動し姿を変えて生き続ける

魔法創世記

  • 活気と荒々しさが溢れる混沌
  • 魔法利用した新たな支配者そして争い。
  • 中世ファンタジーではなく、未来で科学が魔法を発見するとか?

整理したキーワードから、ラフでイメージを組み立てていきます。
『制御を失った魔法の力が大地に影響を与えている』
『人知が及ばない強大な自然の力を感じる』
この2点を軸にラフを描いていきます。

ざっくりとしたシルエットで大地の隆起のパワーをイメージしてます。

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隆起のバリエーションとして「ドーン!」と立ち上がるイメージで、アントロポセンの終焉を象徴する存在を入れてみました。

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フォトバッシュも使いってざっくり描いていきます。
大地が歪んだ圧力と暴走した魔法によって鉱石化した表現をいれてみたり。

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他にもいくつかラフやスケッチを描きましたが、どれも世界観を表すには情報不足で魅力もなくキーとしては弱いなと悩んだ末、「終焉を象徴する存在」は軸として残し、人類の活動、人類の影響でという表現を入れて見る事に。

終焉の象徴とその始まり、人類文明をいれたイメージラフをおこしました。

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象徴の存在感は上がったかなという印象だけど、世界観のコンセプトはまだ充分に伝えきれていないので情報を足していきます。

強大な自然の力は、破壊や死をもたらしますが圧倒的な美しさがありますよね。
人類にとっては暴力的だが「圧倒的に美しい」をキーワードにイメージする事にしました。

余談ですが、アートを描いたり3Dを制作したりするときはイメージにあった音楽を聞く事にしています。音楽を聞いているとイメージをなんとなく掻き立てられ気持ちが入ります。

魔法創世紀にある人類活動による文明と終焉の象徴をいれてみました。

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人類活動の活動に影響を与えている存在として、終焉の象徴をもう少し表現できないか?と考え、都市が魔法で暴走した鉱石に包まれていく設定で終焉の象徴とする表現を思いつきで入れてみる事しました。
光の表現にも重点をおき、美しさを光で見せる事も意識します。
何パターンかのラフイメージを経て、最終的に完成したコンセプトアートが表題にもあるこちらになりました。

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終焉の象徴、大地に影響を及ぼす魔法、人類活動の終焉、魔法が創られた近未来のキーワードが「美しさ」を軸にまとまった形で少しは表現できたのかなと思います。

今回は、明確なコンセプトワードを設定せずアウトプットしながらビジュアルを固めていきました。事前に伝えたいビジョンが明確にあって、具体的にコンセプトとなるワードが設定されているケースもあると思います。

実際のゲーム開発では、規模や人員、スキルセット、参加するタイミングやスケジュール、予算などなど、様々な要素が絡み合い、一つとして同じ状況はないのでコンセプトワークにも正解はないと思っています。その状況に合わせた、より適したアプローチを試行錯誤する事もゲーム開発、コンセプトワークの難しさかも知れませんね。
大事な事はアプローチではなく結果であり、ユーザーの皆様に世界観の魅力を感じてもらえる事がコンセプトアートのゴールなので、素晴らしいと思ってもらえるようなコンセプトアートを提示できるように研鑽に励んでいきたいと思います。

最後まで読んでいただき、有難うございました。
コンセプトアートに少しでも興味を持ってもらえれば幸いです。