はじめに

こんにちは、KLab Sound Teamのはなわんです。

普段はKLab株式会社のサウンドディレクターとして担当タイトルの作編曲、SE制作、実装までサウンド全般を担当したり、他タイトルのサウンド制作、プロモーション関連業務など幅広く活動をしています。
また、ブランディング活動として積極的な対外発信も行っています。

その一環として、今回は表題の通り
にじさんじ所属のバーチャルライバー「樋口楓」さんのライブ
「Kaede Higuchi 1st Live "KANA-DERO"」において、バンドメンバーとして参加する機会がありました!

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▲当日のライブ中の写真

◆『バーチャルライバー + 生バンド』

2次元(2.5次元?)+3次元・・・というところで中々イメージがつかないかと思います。
ので、ライブ動画をご覧頂けたらと思います。

この動画のようにセンターに樋口さん、その左右にバンドといったフォーメーションを組み、16曲のセットリストで会場のファンの方々と熱いライブを創り上げました。

このZepp Osaka Baysideという大きな規模で、どのような問題があり、どのような楽器や機材を使って解決しライブを成功させたのかを紹介していきます。

※機材的・技術的でないお話はこちら

①セットリストが様々なジャンルの16曲だった

(解決策)

複数本の楽器とデジタルオーディオプロセッサー+MIDIコントローラーで対応。

大まかな機材

(はなわん)
・Fender Telecaster(SSテレキャスター)
・T's Guitars DST-Classic(HSHストラトシェイプ)
Kemper Profiling Amplifier (マルチオーディオプロセッサー)

(ハヤシ)
・Fender Custom Shop Stratocaster(SSSストラトキャスター)
・Suhr Modern(HSHオリジナルシェイプ)
Fractal Audio Systems Axe-Fx Ⅱ XL+ (マルチオーディオプロセッサー)

◆ギターについて
楽曲によってシングルコイル(S) or ハムバッカーコイル(H)で持ち替えています。

軽い音やエッジの効いた音が欲しい時→シングル
重めの音や厚みが欲しい時→ハム

といったように、楽曲に応じて楽器を持ち替えする事によってオールジャンルに
対応することが出来ました。

※同じアンプ・同じフレーズでもこれだけ変わります。

・シングル(SSテレキャスター)

・ハム(HSHストラト)

また、セトリの楽曲から例を上げると以下のような分け方をしています

ざっくり要件:ドロップDチューニングの重厚なリフ、滑らかな音のオクターブ奏法
→ハムのギターを使用

ざっくり要件:軽めでエッジの効いたカッティング、明るく分離感のあるコード
→シングルのギターを使用

上記楽曲のようにギターをどちらにするか決めやすいものもあれば、決めにくいもの(どちらのギターでも合いそうな曲)もあります。

それらはセトリの流れで決めたり、双方のギターのパートで分けたりしています。

◆マルチオーディオプロセッサーについて

アンプシミュレーター、マルチエフェクター、という単語のほうが聞き馴染みがあるかもしれません。

※Axe-FxとKemperを一括りにしてしまうと違う気がしたのでマルチオーディオプロセッサーと記載しています。(機能的にはアンプシミュレーター+マルチエフェクター的なものです)

・アンプを使う上で我々には選択肢がいくつかありました。

①生アンプのみ
②生アンプ+エフェクター
③生アンプ+マルチオーディオプロセッサー(外音に使用) 等

しかしながら、以下のような様々なメリットを踏まえ③を選択しました。

・壊れにくく長距離移動の現場でも安心
・ライン出力なら予め出音を作り込んで本番を迎えられる
・曲数が多くジャンルが様々なので複数プリセットで管理出来る
・MIDIコントローラーを使うことにより複雑な踏み変えの必要がない
・上記かつ、生アンプを併用することで厚みや音圧感も伝えられる

といったメリットが有るためです。
他にもやり方があるかと思いますが、社内及び個人の機材やレンタルなどの
様々なコストを鑑みて上記に落ち着きました。

Kemper ──────┬ ライン(外音)
  └MIDIコン    └ アンプ(中音)

自分の場合上記のようにシステムを構築しており
並列でKemperから送りそれぞれCabinetのオンオフだけ分け、外と中の出音を管理しています。

※ちなみに自分はやっていませんが、このルーティングを組むと、生のCabinetを通して
マイキングした音とラインの疑似Cabinetをmixして出力する、なんてことも出来ます。

そして、MIDIでの制御ですが、
曲数が多いとどこのスイッチにどこの音が当てられているのか分からなくなりがちなので
曲順番号=Bankという概念で管理しました。
1曲目はBank1、2曲目はBank2…といったように曲ごとに分け、踏み間違えやバンク間違いを事前に防いでいます。

もしバンクをごちゃごちゃに設定していた場合、曲を演奏している最中に間違えると復帰するのが大変なので、意外とこのような部分をしっかり分けて行くことは重要かと思います。

②バンド編成にない楽器やシンセが沢山必要だった

原曲がEDMでシンセたっぷりだったり、ストリングスやトランペットが入っていたり、
ハモリが必要だったり…といったように、バンド隊だけでは補えないパートが多い場合があります。

そのような時、演奏と一緒に流すシーケンス(同期)というものを使用します。

PCから録音されたストリングスやコーラスパート等の音を流し、
ドラマーは流しているテンポに合っているクリックに合わせて叩くことにより
演奏とシーケンスがぴったり合う…という高度な技術ですが、
今回はプロドラマーの樋口幸佑さんの安定した演奏によって、同期を問題なく使用することが出来ました。

③安定した演奏が必要だった

当然ではありますが、今回はプロのバックバンドとして、自分たちだけの趣味のバンドのような『ミスりまくっても大丈夫!』のようなやり方とは違うといった点で、
演奏の品質担保は必要でした。

(荒々しい生っぽい演奏の方が良い場合も勿論ありますが、今回はなるべく綺麗に揃えたいという思いでした)

そこでまずイヤモニ(イヤーモニター)を用意しました。
よくプロのアーティストがライブのとき耳にイヤホンのようなものをつけてるのを見たことがあるかと思うのですが、あれがイヤモニです。

あれは現場でイヤモニで好きな音楽を聞いたりしているわけではありません(笑)
周りの楽器の音だったり、同期の音だったり、自分の音を自分の耳に送って
演奏しやすく(歌いやすく) している、仕組みです。

また、同期を送ると同時に、ドラマー同様にクリック(※メトロノームのようなカウント音)の音も返すことが出来るので
よりリズムを掴みやすく、安定した揃った演奏をしやすくなる、
というのがイヤモニのメリットです。

もし、『リズムが取りにくくて歌いにくい!』とか『全体で自分の音聞こえなくて合わせにくい!』といったお悩みを抱えていたりするバンドマンの方は是非導入を検討してみては如何でしょうか。

※余談ですが、今回自分はShure社のSE215speというイヤホンと同社のパーソナルモニターシステムを使用しました。
音切れもかなり少なく、Zeppクラスのライブハウスでも問題なく使えました。

まとめ

今回、ライブとして大成功だったのではと思っています。

それは、今回書いたような様々な問題に対する解決策を、1つ1つクリアしていった事の積み重なりが生み出したものでもあり、
更にメンバー、スタッフ、ファンの方々などライブに関わるすべての方々のご協力があったからこそ、このような結果として出たのではないでしょうか。

またこのような機会があれば、今回の「もう少しこうすればよかったかな?」といった点を昇華させ、よりワクワクできるモノを作り、よりワクワクできる発信を行い、よりKLabの名前を世界に発信して行ければと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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