KLabGames Creative Blog

KLabは、多くのスマートフォン向けゲームを開発・提供しています。このブログでは、KLabのクリエイターがスマートフォン向けのゲームを制作・運営していく中で培った様々な技術や挑戦とそのノウハウについて紹介していきます。

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コンセプトアートとは?

こんにちは。KLab株式会社クリエイティブ R&DグループのYojiと申します。

コンセプトアートとは何かご存知でしょうか?

ゲームの魅力となる世界観を支えるとても重要なアートで、クリエイターの脳内にあるイメージを具現化し人に伝える手段でもあります。
ゲーム制作の初期フェーズは、大抵の場合コンセプトワークからスタートします。
企画を元にコンセプトを体現したアートを制作しゲームの世界観を構築していきます。
コンセプトアートは、ゲームの世界観をイメージとして直接表現され、商品の魅力やオリジナリティへと繋がるので、妥協が許されないとても大事な役割を担います。

他にも、チームメンバー同士が同じビジョンを共有・同意し、同じ方向に向かって進んでいける道しるべとしての役割も持ちます。
コンセプトアートはそのような重責を担う部分でもあるので、ゲーム業界ではコンセプトアートを描く人がアートディレクターを務めるケースも多いです。

これからアートディレクターを目指したいと思われている方は、コンセプトアートに取り組む事もキャリアを実現する道になるかもしれません。
たとえアートディレクターを目指さなくても、コンセプトアートはゲーム制作においてオリジナルの価値を創る重要な部分でもあるので、練習しておいて損はないと思いますし、色々考えて絵を描くのはなにより楽しいですよね!

コンセプトアートをどのように制作していくか、ユーザーの皆様に世界観の魅力をどう伝えるか、少しでも参考になればと私なりの取り組み方等を紹介していきたいと思います。

コンセプトを考える

実際のゲーム制作では、プランナーがいて企画書の元でコンセプトアートを制作するケースが多いかと思います。プランナーが明確なイメージを持っている事もあるかもしれませんが、この時点では誰も明確なイメージを持ていない事がほとんどですし、イメージの共有は出来ていません。

イメージが何もない状態からイメージを形にし、創っていく事がコンセプトアーティストの役割なので、企画者やメンバーとコミュニケーションをとりながら、世界観のキーワードを固めたりアイディアを提案したりと、受け身にならないよう自ら発信していくスタンスで取り組む事が、いいアウトプットに繋がるかも知れません。

企画者に対して質疑応答となってしまったり、細部まで決まらないと何を描いていいのか分からないといったケースになりがちなので、自身で世界観を創っていくんだ!というくらいの、強い意思を持った姿勢で居たいと私は常に考えています。

もう一つ、ボツは気にしない!1度で答えを出せる優秀な方も沢山おられますが、ボツを気にせず何枚も積み重ねて模索した中から、光るピースを集め徐々に世界観を固めていきたいとも考えています。
映画のコンセプトアートも、何ヶ月間もかけて大量のアイディアラフからビジュアルを固めたりしてますよね。ハリウッドの大作映画ほど予算を掛けれないですが、限られた中ででも積み重ねて模索する事は大事なのかなと思います。

イメージを創る

コンセプトをどのように考えイメ―ジを固めていくか?この世界はどういう存在で何を伝えたいのか?作例を使用して1枚のコンセプトアート完成までの説明していきたいと思います。

今回の作例では、魔法が世に生まれたばかりの魔法創世紀の話し、魔法という革命的な存在が地球に重大な影響を及ぼす、アントロポセンの終焉を描くという設定がありました。
設定から、魔法が影響を与えている終焉が近い世界とはどういった世界なのかのイメージを膨らませ、コンセプトアートで表現したいキーワードを整理し広げていきます。

魔法が大地に影響を及ぼしている

  • 制御を失った力の存在
  • 魔法が地球の在り方を変えつつある。

アントロポセンの終焉

  • 人類活動の終焉
  • 終焉を象徴するような存在
  • 地球は活動し姿を変えて生き続ける

魔法創世記

  • 活気と荒々しさが溢れる混沌
  • 魔法利用した新たな支配者そして争い。
  • 中世ファンタジーではなく、未来で科学が魔法を発見するとか?

整理したキーワードから、ラフでイメージを組み立てていきます。
『制御を失った魔法の力が大地に影響を与えている』
『人知が及ばない強大な自然の力を感じる』
この2点を軸にラフを描いていきます。

ざっくりとしたシルエットで大地の隆起のパワーをイメージしてます。

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隆起のバリエーションとして「ドーン!」と立ち上がるイメージで、アントロポセンの終焉を象徴する存在を入れてみました。

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フォトバッシュも使いってざっくり描いていきます。
大地が歪んだ圧力と暴走した魔法によって鉱石化した表現をいれてみたり。

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他にもいくつかラフやスケッチを描きましたが、どれも世界観を表すには情報不足で魅力もなくキーとしては弱いなと悩んだ末、「終焉を象徴する存在」は軸として残し、人類の活動、人類の影響でという表現を入れて見る事に。

終焉の象徴とその始まり、人類文明をいれたイメージラフをおこしました。

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象徴の存在感は上がったかなという印象だけど、世界観のコンセプトはまだ充分に伝えきれていないので情報を足していきます。

強大な自然の力は、破壊や死をもたらしますが圧倒的な美しさがありますよね。
人類にとっては暴力的だが「圧倒的に美しい」をキーワードにイメージする事にしました。

余談ですが、アートを描いたり3Dを制作したりするときはイメージにあった音楽を聞く事にしています。音楽を聞いているとイメージをなんとなく掻き立てられ気持ちが入ります。

魔法創世紀にある人類活動による文明と終焉の象徴をいれてみました。

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人類活動の活動に影響を与えている存在として、終焉の象徴をもう少し表現できないか?と考え、都市が魔法で暴走した鉱石に包まれていく設定で終焉の象徴とする表現を思いつきで入れてみる事しました。
光の表現にも重点をおき、美しさを光で見せる事も意識します。
何パターンかのラフイメージを経て、最終的に完成したコンセプトアートが表題にもあるこちらになりました。

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終焉の象徴、大地に影響を及ぼす魔法、人類活動の終焉、魔法が創られた近未来のキーワードが「美しさ」を軸にまとまった形で少しは表現できたのかなと思います。

今回は、明確なコンセプトワードを設定せずアウトプットしながらビジュアルを固めていきました。事前に伝えたいビジョンが明確にあって、具体的にコンセプトとなるワードが設定されているケースもあると思います。

実際のゲーム開発では、規模や人員、スキルセット、参加するタイミングやスケジュール、予算などなど、様々な要素が絡み合い、一つとして同じ状況はないのでコンセプトワークにも正解はないと思っています。その状況に合わせた、より適したアプローチを試行錯誤する事もゲーム開発、コンセプトワークの難しさかも知れませんね。
大事な事はアプローチではなく結果であり、ユーザーの皆様に世界観の魅力を感じてもらえる事がコンセプトアートのゴールなので、素晴らしいと思ってもらえるようなコンセプトアートを提示できるように研鑽に励んでいきたいと思います。

最後まで読んでいただき、有難うございました。
コンセプトアートに少しでも興味を持ってもらえれば幸いです。

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こんにちは。クリエイティブR&Dグループ所属のsasaと申します。
セクション内では主にVFXを担当しており、現在はHoudiniというツールの技術検証・研鑽・実践を行っています。

「R&Dグループってなんぞや?」という方はコチラ↓
http://klabgames.creative.blog.jp.klab.com/archives/14399176.html

今回は、前回の記事の最後で予告していたTipsやテクニックをチュートリアル形式で少しご紹介したいと思います。

「前回の記事ってなんぞや?」という方はコチラ↓
http://klabgames.creative.blog.jp.klab.com/archives/17960839.html

※ 注意点なのですが、本記事は前回の記事の続きという形でございまして、内容に関しましても前回の記事を読んでいる事を前提としたものになっておりますので予めご了承下さい。

Tips紹介…の、その前に

まずは私が想像している初心者~脱初心者までの各学習工程の段階をご覧ください。

・1段階目
Houdiniを触るのがまったくの初めて~SideFX社公式の「STARTHERE」や「BASIC」、「QUICKSTART」のチュートリアルを見様見真似でとりあえずやってみたり、5分~10分位のチュートリアルなら見様見真似で何とか形にできる段階。ただ、作業の中身や各ツールやノードの意味はまだよくわからない状態。1週間Houdiniを触らなかったらほぼ何も覚えていないような段階。

・2段階目
1段階のチュートリアルを多数こなし、Houdiniのオペレーションや機能が少しわかってきた段階。1週間Houdiniを触っていなくてもやっていたことの6割位は覚えている状態。基礎をより強固なものにし、徐々に応用に進んでいく段階。

・3段階目
SideFX社公式の「INTERMEDIATE」前後に相当するレベル。Houdiniの基礎及び応用のためのプロセスをそこそこ分かっている段階。インターネット上にある各チュートリアルはこのレベル以降を対象としたものが多い印象。2段階目のチュートリアルをしっかりこなしていれば順当に学んでいけるのですが、1段階目からいきなりここにスキップすると意味不明になりがち。

今回は、上記のように初心者向け入門用チュートリアルを1段階目とするならその次の2段階目のチュートリアルを紹介したいと思います。

なぜ2段階目のチュートリアルかというと、1段階目や間を開けて3段階目以降のチュートリアルはSideFX社の公式チュートリアル等で結構充実しているのに対し、その間の2段階目のチュートリアルは数が少ないからです。
自分で勉強していても感じましたが、Houdiniのチュートリアルは入門用と中級者以上向けのチュートリアルは充実しているのですが、脱初心者向けのチュートリアルは中々ありません。
前回の記事が導入解説だったので順当に考えれば1段階目の入門用チュートリアルを作るのが自然な流れですが、入門用チュートリアルはSideFX社公式等に既に十分な量が用意されており、私がこのタイミングで作っても既存のチュートリアルと内容が重複するだろうと思いました。ですので今回は入門用の1段階目の次の、脱初心者向けの2段階目のチュートリアルをご紹介したいと存じます。

※1段階目のチュートリアルも紹介してほしいという方もいるかと存じます。前回の記事及び上記でSideFX社公式サイトに入門用のチュートリアルが充実している旨を紹介しましたが、念のために入門用資料の一部を再度ご紹介いたします。

SideFX社公式チュートリアル
まずはこのページの「STARTHERE」及び「BASICS」のチュートリアルを履修することをオススメいたします。また、ページトップにあるサッカーボールのチュートリアルもHoudiniの基礎的な概念を分かりやすく説明しているので是非ご覧になって頂きたいと存じます。

3DCGMeetup#12のHoudiniセッションの発表資料
蒸留スイ氏によるHoudiniの入門資料。Houdiniの考え方やメリットを簡潔に紹介してくれています。

CGWORLDのHoudini導入講座
ありがたいことに上記リンクの3時間に渡る導入講座部分は無料で視聴可能です。

今回やること

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今回は上記画像を作成します。

モデリングからコンポジットまでの全てを行います。これは「通しで作業した方がツールを覚えやすい」「マテリアルやライティング、レンダリングのチュートリアルは少ないのでその補完になる」「Houdiniはオブジェクトもパーティクルも根底の考え方は一緒なので、それぞれの作業を行い多角的にHoudiniに触れることでよりHoudiniを理解しやすくなる」…という考えがあるからです。
Houdiniには良くも悪くもアプローチに多種多様な選択肢があり、最初のうちはその多様さに混乱し、何を使ってどうすれば良いのか分からない状態になることがあるので、私のやり方を紹介することで「こういう考え方でやっている人もいる」ということを知って頂き、その視点を軸にすることで他のアプローチを比較検討しやすくなるだろうという思いもあります。
また、画像やテキストだけで今回のチュートリアルを語ろうとすると膨大なページ数になりそうだったので、今回のチュートリアルは基本的に動画を主としてブログ上のテキストは要点等の捕捉という形式になっております。

BasicTutorial

こちらが今回のチュートリアル動画となります。各チャプターへのショートカットは動画の説明欄に記載しています。
Houdiniのバージョンは17.5、コンポに使用しているAfterEffectsのバージョンはCC2019です。

簡単なショートカットキーやグローバル変数は入門用資料の多くに記載されているので動画内ではほぼ説明をしていませんが、念のために下記に記載いたします。

・ショートカット
tab : tabメニューの表示
U  : 上の階層に上がる
I  : 下の階層に潜る
R  : 選択したノードのディスプレイフラグを立てる
Y + ドラッグ :  ワイヤーの切断
Alt + ドラッグ : 複製
Ctrl+B  : 選択中のビューを最大化及び元に戻す
Space + F  : 選択したジオメトリ、オブジェクトをビュー全体に表示
Space + A  : 全ジオメトリをビュー全体に表示
Space + H  : グリッドを中心に表示

・グローバル変数
$F : 現行フレーム
$HIP  : 現行のシーンファイルを含んだディレクトリ
$HIPNAME  : 拡張子なしの現行シーンファイル名
$OS  : 現行オペレータ(ノード)の名前

Tutorialの補足

動画内にテキストで必要な補足はいれているのですが、それ以外にも気になりそうな事だったり、「これってどういう意味だろう?」と感じそうな箇所だったり、追加で別途説明をした方が良さそうだと感じた箇所を下記にまとめました。

チュートリアル動画を履修中、必要に応じて適宜ご確認いただければ幸いです。

Introduction

背景画像はHoudiniに標準で入っているEnvironmentMapの画像なので気にしなくて大丈夫です。

CreateErodeObject

VDBはエフェクトをやっている方には馴染み深い概念だと思いますが、知らない方も多いかと思います。簡単に言うと軽量高速のボリュームフォーマットのことで、HoudiniはこのVDBとポリゴンを行き来することができ、これが強力なのでよく作業で使われます。

より詳しくVDBについて知りたい方はHoudini Advent Calendar 2017でrenkiku氏がVDBについて解説された記事が分かりやすいのでぜひご覧ください。

CreateParticleEmitter

booleanノードの「Output Primitive Groups」の任意の項目にチェックを入れることで、booleanするオブジェクトの特定の要素をグループ分けすることができます。
今回はboolean後の球体の表面部分をグループ分けし、blastノードでそのグループのみを抽出してエミッターのベースを作成しています。

blastノードはこのように特定の要素だけを抽出・除外したい時によく使います。

CreateParticle

パーティクルの発生部分に「$F==1」と打っていますが、これで指定したフレームのみtrue=1、それ以外のフレームはfalse=0が返され、結果として指定したフレーム(今回は1フレーム目)のみパーティクルが発生するようになります。

CreateLight

EnvironmentMapに使用しているテクスチャはHoudiniをインストールすれば標準でインストールされるものを使用しています。
SkyLightのシェルフは便利なのでよく使うのですが、SunLightをオンにしておくとリフレクション等に変なチラつきが出やすくなるので今回はオフにしています。レンダリング設定を詰めればGlobal Iluminationのチラつきのような嫌なチラつきは消せたりするのですが、その分レンダリングが重くなるのでEnvironmentLightだけで十分な場合は私はそうしています。

Load Object&Material

キャッシュの種類で「Packed Disk Primitive」という種類を使っていますが、端的にいうとこうしてパックする事で軽量高速でデータを取りまわすことができます(しかしその分UnPackしないと中のアトリビュートにアクセス・編集することができません)。レンダリング時の読み込みも効率化されるのでレンダリング前の最終キャッシュなんかでもよく使います。

パックについてより詳しく知りたい方はHoudini公式ヘルプのパックプリミティブの項目Ken氏のサイト「サルにもわかるHoudini」のパックプリミティブの記事が分かりやすいのでぜひご覧ください。

Load Particle&Setting

キャッシュのタイプですが、今回はパーティクルのageやlifeといったアトリビュートを利用するので「All Geometry」にしてあります。

ageとlifeで色やスケールを調整していますが、これはエフェクトでよく使われるテクニックです。

パーティクルにオブジェクトを何もアサインしていない状態でpscaleを視覚的に確認する場合は、「Dキー」→「DisplayOptions」→「Geometry」→「Particles」→「Display particles as」のタイプを「Discs」にするのがオススメです。

Create ParticleMaterial

オブジェクトのマテリアル共々「Roughness」を「0.1」にしています。こうすることで艶がでてEnvironmentMapの影響が分かりやすくなりますが、principledshader標準の「0.3」でもリアルな自然物としては少し艶っぽすぎる場合が多いのでご注意下さい。

principledshaderはHoudiniのマテリアルの中でも最も基本的なマテリアルで且つ汎用性・拡張性の高いものなので私はよく使います。

Camera&LookSetting

シェルフのCameraを「Ctrl+左クリック」することで現在のビューからカメラを作成することができます。動画のようにDisplayOptionバーのLookCameraのチェックを入れることでパースビューを動かすようにカメラの位置を調整することができます。

obj階層でのnullは、親子関係の親として使うことができます。

MPlayPreview&RenderSetting

動画にマウスが表示されていないので分かり辛くて申し訳ありませんが、MPlayは画面左下のフィルムケースのようなアイコンをクリックすると起動します。

Composite

使用しているaepはこちらのGoogleDrive上に置いてあります。一般的な常識の範囲内で学習ソースとしてご自由にお使いください。

aep内はソースのデータを置き換えればそれ以降のコンポ全てが自動で変化・反映されるようになっており、これはHoudiniの非破壊的なプロシージャルな作法とよく似ています。AfterEffects自体はプロシージャルを前提としたツールではありませんが、このようにプロシージャルの考え方を踏襲すると効果的にシーンを構築することができます。

終わりに

1時間を越えるチュートリアル、お疲れさまでした。
如何だったでしょうか? 少しでも皆様のHoudiniの勉強のお役に立てたのなら幸いです。

私自身、Houdiniの基礎チュートリアルを終えたときの次の悩みは「マテリアルやライティング、レンダリングはどうやっているんだろう? キャッシュはどのタイミングでどういう風に取っているんだろう?」といった所でした。当時の私と同じような壁に差し当たった方の力になれたのならこれ以上の喜びはありません。

冒頭にも書きましたがHoudiniには無数のアプローチがあり、私が今回やった方法も一例に過ぎません。ですが、まずは一例を知ることでそこから多種多様なアプローチを比較検討することができるようになるので、一つの指標として本チュートリアルを活用して頂けますと幸甚に存じます。

また、「こういう事を知りたい」「こういう内容を記事に取り上げてほしい」といった要望も募集中です。何かございましたらコメントフォームの方へ書き込みをお願いいたします。

最後までお目通し頂きありがとうございました。

はじめに

こんにちは、クリエイティブ部サウンドグループのさだきちです。
前回はTokyo Demo Fest2018のDemo Compo優勝作品の解説~サウンド編~の記事で
映像に対する楽曲の作り方についてご紹介させていただきましたが、
今回は効果音の作り方をご紹介させていただきたいと思います。

効果音の作り方の種類

効果音は
・生音を収録して作る(フォーリー)
・シンセサイザーを使用して作る
・効果音素材集の素材を組み合わせて作る
といった大きく分けて3種類に分類されます。
生音を収録して作る効果音はフォーリーと呼ばれ衣擦れや銃を構える音など、
現実にある音を再現することを得意とし、
シンセサイザーを用いて作る効果音は魔法のような現実には実在しない音や昔のアニメに使われるような誇張した音を得意とします。

今回はシンセサイザーを使用して現実には実在しない効果音を1から作る作り方について
ご紹介させていただきたいと思います。

ホームランな音の作り方

今回は野球のバットで「カキーン!」とホームランを打つような誇張した効果音を
シンセサイザーを使って制作してみました。



作り方のフローとしては下記の3つとなります。
1.シンセサイザーで各パーツを作る(その時に出来上がった副産物なども保存しておく)
2.作った素材を混ぜ合わせる
3.混ぜ合わせて一つにしたものを最終調整して整える

今回使用したシンセサイザーについて

image13【今回使用したシンセサイザーについて】

今回はLennarDigital「Sylenth1」という減算方式シンセサイザーを使用して制作をしました。
他のシンセでも制作は可能ですが、
Sylenth1というシンセサイザーは音を鳴らした際に、
周波数帯域の上から下までのレンジが非常に広く再生でき、
20kHzから上の高音域も鋭く音が出せるため、
音が抜けるような派手目な音を作る際は、非常に相性の良いシンセサイザーとなります。

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フィルターの効き具合も繊細に効くため、
ホワイトノイズを加工して風切りの音を制作する際にも非常に重宝しております。

1_1.カキーン音のベースとなる音を作る

image2【1_1.カキーン音のベースとなる音を作る】

まず最初にカキーン音の基礎となる音を作ります。
この音はホワイトノイズで作ります。

↑この音を加工して制作します。
このホワイトノイズをもとに、
付属のフィルターで下の画像のように加工を行います。
(beforeは初期設定の状態、afterが調整後)

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今回は
ローパスフィルター(低い周波数帯域を通すフィルター)を使用し
CUTOFF(どれだけ音を絞るかの値)を20~30%程、
RESONANCE(どれだけカットオフ周波数の肩の部分を強く持ち上げるかの値)を100%にして、音をハウリングさせるような要領で音を作ります。
このように調整をすると以下のような音へと変わります。

フィルターを使ったことでどのようにホワイトノイズが変化したか
アナライザーを使用し視覚的に確認するとより理解が深まります。

加工前

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ホワイトノイズは全ての周波数が均等な強度で鳴るノイズなため、
アナライザーで確認をすると上から下まで満遍なく周波数が散らされていることがわかります。
(このシンセサイザーの特性的に高い帯域が出やすくなっていることがわかります)

加工後

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ハウリングしたような音に変わったことで一部の帯域が盛り上がり音階がつきました。
周波数帯域で一番盛り上がっているところが2300Hzあたりなので
ドレミファソラシドの「レ」の音が鳴る「カキーン」となる音がこれで作ることができました。

1_2.カキーン音のピッチを描く

右肩上がりにピッチをあげることで音に上昇感を出すことができます。
MIDIでそのような音を作る際は、ピッチベンドをかけることで可能です。

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一度オーディオデータとして書き出したもの(wavデータ)に対して
波形編集としてピッチベンドをかける方法も有効です。
ただし、波形上でピッチを変えるとタイムストレッチがかかり、
音を高くなるように編集をすると尺が早回しになり、
音を低くなるように編集をするとスロー再生の効果がかかります。


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長さを保持することも可能ですが、
その場合音質の劣化が起こるため、
意図的に使用する以外はあまりおすすめはしません。

1_3.不要な部分を削りエフェクト(リバーブ)をかける

ザラッとなりすぎたりなど、不必要に感じる部分は、
EQや波形編集ソフト(izotope RXなど)を使用して落とします。
下記はizotope RXの編集画面、
高いの帯域のザラッと感じられた部分を抑えています。

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波形を整えたあとに、
キーン!と伸びるような残響感をつけたいためリバーブをかけます。
(後程エフェクトをかける前の素材も使用するため、
かける前のデータも残しておきます)
今回はCubase / Nuendo付属のRoomWorksをインサートにかけて作りました。

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2.サブベースを作る

高い音に迫力を持たせるためには、音の土台となる低い音も混ぜていくと効果的です。
スマートフォンのスピーカーからは聞こえづらい音ですが、
最近のゲーム、映画では印象つけたいときに使用される「どぅーん⤵」と鳴るようなサブベースという音を入れることで、
イヤホンや外部のスピーカーから再生したときに効果音をより迫力のある音へと昇華させることができます。
(サブベースに関する記事)


image10【2_1.サブベースを作る】

爆発で鳴るような少しザラッとした雑味のある低音が欲しいため、
ここではホワイトノイズを使用してサブベースを作ります。
(サイン波で使用する場合も多々あります。
サイン波を使うことで丸みのあるサブベースをつくることができます)
ここでもハウリングのような要領でホワイトノイズの帯域を持ち上げ、
音の輪郭を少しだけはっきりとさせたいため歪み(DISTORT)のエフェクトを画面中央から選択し、エフェクトをかけます。

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また、その際、時間の経過とともにCUTOFFのパラメータに0に近づけるように、
フィルターが絞られて持ち上がってた帯域が低い方へ寄っていく挙動をさせることで
音程がどぅーん⤵と下がっていくように設定をします。

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これでサブベースの音は出来上がりましたが、
サブベースの上の帯域がカキーンの音とぶつかって聞こえにくくなってしまうため、
サブベースの音はEQを使用して高い帯域の部分は抑え、
カキーンの高い音がしっかりと聞こえるように整理をすることでバランスがよくなります。

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3.風の音を作る

カキーンと球を打ったあとに発生する風の音を余韻として入れると、
より具体的な音となるため風の音もシンセサイザーを使用して作ります。

image3【3_3.風の音を作る】

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ここではホワイトノイズにバンドパスフィルターを使用することで、
風の「ひゅ~」という音を作ることができます。
(CUTOFFの値を動かすことで、からっ風のようなひゅるるる~とした音も作ることも可能です)


4.作った素材を混ぜたり編集を加え最終調整

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素材を作り終わったら
綺麗に音が鳴ったと感じるまで編集を加えながら混ぜ合わせます。

1_1で作った元の素材も音に芯を出すために混ぜあわせたり、
風の音のピッチをさげたり、
1_2で説明した長さを保持したストレッチにより音質の劣化した素材なども使い
一つの音としてまとまりが出せるよう、入念に調整を行います。

文章で説明するには情報量が多く難しいため、
実際に制作した際のシンセサイザーのプリセット、
wavの波形データでどのようにミックスしたのかを確認が出来る
Cubaseのプロジェクトを用意しました。
興味のある方はダウンロードして試してみていただけると幸いです。

Homerun_Project.zip をダウンロード

おわりに

以上、効果音の作り方の紹介でした。
今回はシンセサイザーだけを使用した効果音の作り方をご紹介しましたが、
バットを振る音、スイングしたときの衣擦れ音、
球が飛んでくる風圧の音や、
バッターボックスでスイングをするのであれば足が動いたときに鳴る土や砂利の音など、
生音と今回制作した誇張した音を混ぜて調整をすると
より説得力のある効果音が出来上がります。
機会があれば生音とシンセサイザーを使用した効果音の作り方についてご紹介したいと思います。

シンセサイザーで音作りをすれば、
素材集が無い環境でも手元で無限に素材を生成することができ、
音のバリエーションも増やすことができるため非常におすすめです。

このブログを読んでくださった方が、
シンセサイザーで作る効果音に興味を抱いて下さると大変嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


はじめに


こんにちは。KLab株式会社クリエイティブ部TA(テクニカルアーティスト)グループのmasahideと申します。
今回は弊社のTAの業務内容や新人TAとして入社した私がどのような業務を行ってきたのか紹介していきたいと思います。

『TAの業務に興味はあるけれど、実務経験が無いため転職となると不安』と考えている方や
『そもそもTAってなに?』と言う方に特に読んでいただきたい内容となっております。

TA(テクニカルアーティスト)とは?

弊社におけるTAはクリエイティブ全体の品質向上や制作効率化に向けて、クリエイターとプログラマーの橋渡しを行う職種になります。
品質向上や制作効率化につながる事の中でも特にTAが主に行っている業務内容は下記になります。

  • MayaやMotionBuilder, 3dsMax等のDCCツールやUnity, UnrealEngine等
  • ゲームエンジン上で動作する業務効率化用のツール作成
  • 処理負荷の計測(プロファイリング)
  • 描画関連の処理負荷改善
  • 新しい描画表現の提案、開発
  • ワークフローの策定、整備

新米TAの業務内容

私はKLabに入社するまでコンシューマゲーム開発のプログラマーとして4~5年ほど開発をしてきたのですが、KLabに入社した時点でTAの業務は未経験でした。
そのため入社当初は自分がTAとしてやっていけるのか?多少の不安もありました。
そんなTAとしては新米の私が入社してから行ってきた業務内容の一部をご紹介させていただきます。

1.Unity用のポストエフェクトツール作成

UnityのInspector上でチェックボックスをON・OFFするだけで簡単に各種ポストエフェクトを実装できる機能です。

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Unityは公式でPostProcessingStackと言うポストエフェクトツールを出しているのですがそれをモバイル向けに軽量化したようなツールになっています。

2.プロジェクトで使用されているシェーダーのリスト化

「他のプロジェクトでどのようなシェーダが使用されているのか分からない」「使い方が分からないシェーダーやパラメータがある」などの問題が発生していたため、
KLabではシェーダーを管理するためのWebサイトを作成しています。
そのシェーダー管理用のWebサイトのベースになる情報を下記のようにリスト化する作業になります。

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最終的に、作成したリストを元に下記のようなWebサイトを作成しています。

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サイト化することで、シェーダーに詳しくないクリエイターの方が直観的に見ることができるようになるというメリットがあります。

3.処理負荷の計測(プロファイリング)

UnityのProfilerやSnapdragonProfilerを使用して処理負荷の計測を行い、処理負荷が高ければ担当プログラマ・クリエイターにアラートという形で報告します。その後自身で高速化のためのチューニングも行いました。

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4.Unityでのテストカットシーン作成

Mayaのモデルとアニメーションデータから「Unityへのインポート作業」や「アニメーションの割り当て」「エフェクトの設定」などを全て行いました。
こちらの作業は本来TAがやるような内容ではなくCGアーティスト向けのタスクなのですが、UnityとMayaに関する知識を付けるのに最適だったため、習得を兼ねて担当させていただきました。

5.Unityの作業効率化ツールやShaderの作成

・Unity上で動作する動画キャプチャーツール作成
・カードイラストを綺麗に見せるためのシェーダの作成
・ある案件においてはPrefabごとに言語を管理しており、それらを一つ一つ作るのは大変なので、簡単にコピーできるようにするツールを作成。

TAになって苦労した(している)事

TAは【クリエイターとプログラマーの橋渡し】と言う立場上、双方の考え方を理解する必要があります。
しかし私は前職がプログラマーだったため、クリエイターの方々が普通に持っているような知識や技術を持っていない、という事がよくあります。

例えば3Dモデルの確認をしている際、先輩のTAは
「ポリゴンの割り方が汚い」
「ボーンウェイトの付け方が悪い」
「UVがおかしい」
などモデルデータの細かい良し悪しを指定できるのですが私にはその細かい指摘が出来ません。
これでは描画の知識があるプログラマーがクリエイターとやり取りしているのと変わらないためクリエイター向けの勉強に取り掛かりました。

具体的には
「Unity上で動作するカットシーンを一から作る」
「3Dモデルにウェイトを付ける」
など、といったクリエイター向けのタスクをこなしつつ知識を付けていっています。
クリエイターにとって面倒で時間のかかる作業を実体験する事でどのようなツールを作成すればクリエイターの作業を効率化できるのか分かるようになります。
そういった意味でも大変よい経験になっています。

KLabは技術情報を集めやすい!!

KLabは職種問わず社員の皆さんが新技術にとても強い関心を持っており、社内での情報共有がとても盛んです。
勉強会がよく開催される社内のチャットグループでは毎日大量の技術情報がやり取りされています。
例を上げるとR&Dグループは毎日のようにHDRPやHoudiniなどに関する情報をやり取りしておりR&Dグループではない私もその情報を見ることができます。
私は特にTAとしての知識に乏しい部分があるため大量の情報を集めやすいKLabの環境はとてもありがたいと感じています。

例:R&Dグループのやり取り

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TAグループ人員募集中!!

TAグループは現在人員強化に力を入れており、社内/外問わずTAを募集しております。
KLabでのTAの仕事に興味がある!!という方はこちら

最後に...

入社当初は自分がTAとしてやっていけるのか?多少の不安はあったのですが、無事にTAとしての第一歩を踏み出す事が出来ました。
3ヶ月間KLabで働いてみてKLabは技術者として成長していくにはとても良い会社だと強く感じています。
今後社外にもいろいろな情報を発信できるような凄いTAを目指していきます。

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こんにちは。クリエイティブR&Dグループ所属のsasaと申します。
セクション内では主にVFXを担当しており、現在はHoudiniというツールの技術検証・研鑽・実践を行っています。

「R&Dグループってなんぞや?」という方はコチラ↓
http://klabgames.creative.blog.jp.klab.com/archives/14399176.html

本日はR&Dグループで使用しているHoudiniというツールの紹介及び、これからHoudiniを学んでいきたいという方向けの導入編を展開したいと思います。

Houdiniとは

Houdiniとは、SideFX社(https://www.sidefx.com/)より販売されているDCCツールで、映画やゲーム、最近は建築なんかでも使用されている3DCGIのソフトウェアです。
近年非常に注目されているツールですので、名前は知っているという方も多いのではないでしょうか。
大きな特徴としては非破壊(プロシージャル)で作業できるということ、ソフトウェア内の言語や考え方が柔軟で強力だということ、ツールが時代に即して常に進化し続けているといった所で、総じて今の時代及びこれからの時代のクリエイティブに必要な考え方・機能を備えたツールといった感じです。

ちなみに今回の記事のサムネイル用画像も幾つかの機能の検証を兼ねてHoudiniで作成致しました。
サムネイル画像の元となった動画はコチラ↓

でもHoudiniって難しいんでしょ?

「Houdiniは難しい」とよく言われています。私自身2度挫折して3度目に学び始めてからようやく最初の壁を越えてHoudinistとして歩き始めることができました。

この記事を読んでいる方の中には私のように挫折した経験をお持ちの方、或いはこれからHoudiniを始めたいけど何をどう覚えていけば分からないという方もいらっしゃるかと思います。

本記事はHoudini導入編となっておりますので、そういった方にも私自身の経験を踏まえて「Houdiniをどうやったら覚えられるか?」の道筋をご紹介できればと存じます。

Houdiniは難しくない

いきなり結論から言いますが、Houdiniは難しくないです。ユーザーが勝手に難しいツールだと考えているだけで、この呪縛がHoudiniの勉強や導入を阻む理由の最たるものだと私は考えています。

理由としては
Q1:Houdiniをやるならプロシージャルモデリングからエフェクト、プログラミング等のあらゆる機能を理解しなければならない。
A1:そんなことはありません。普段Mayaや3dsMax、その他DCCツールをお使いの方は自分がそれらのツールの全てを把握してその機能を使い切っているか考えてみてください。殆どの場合は自分が必要な機能だけを覚えれば業務をこなしたりアートを作ったり出来ているはずです。Houdiniも同じで、まずは自分に必要な機能を覚えるだけで十分だと思います。

Q2:プログラミングができないとHoudiniって満足に使えないんじゃないの?
A2:そんなことはありません。そもそもHoudiniは元々はSOPVOPといったノードベースのツールであり、直接コードを書けるwrangleの方が後付けされたものです。事実として、マテリアルのオペレータはVOPベースなのでノードに触れないと逆に上手く扱うことができません。無論、プログラミングができるに越したことはありませんし、プログラマーさん等はそちらからの方が入りやすいかもしれませんが、アーティスト側が過度に最初からプログラミングを意識する必要はありません。

上記2点の考え方がHoudiniの修学を阻む大きな壁だと私は考えており、そこのマインドセットさえ再設定できればHoudiniを学び始めるという事はそう難しいことではないと思います。

実際のHoudiniの勉強法

まず大前提として「自分の得意分野から勉強する」事を心がけましょう。Houdiniだからといっていきなり未知の分野や難しい分野を学ぼうとすると、「新しいツール」と「未知の分野」という二つの事を同時に扱うことになりHoudiniを挫折し易くなります。

私の場合は元々エフェクト・コンポジットアーティストとして3dsMaxと各種VFXプラグイン、RealFlow、AfterEffectsと各種主要プラグインを主に扱っていたのでエフェクトから勉強するのが非常に捗りました。

専門用語が多くなってしまって申し訳ありませんが、例としては
・炎や煙はベースとなる考え方はどのツールでも基本的に同じなので、Houdini内でFumeFXの各種パラメータに該当するものを探して覚えるだけ。
・流体メッシュの形状調整はRealFlowでは元々の形状を詰めすぎずにvolumefilterで調整するのが主ですが、Houdini内でも同じ考え方が通用するしノードやパラメータを見てもRealFlowと同じ考え方をしているので理解しやすい。
・ショックウェーブ作りも基本的にはsmoke等のvelocityをparticleに与え、乗算マテリアルでレンダリングするという考え方。これは3dsMaxで普段行っているFumeFXのvelocityをParticleFlowに与え、KrakatoaのForceAdditiveでレンダリングするのと同じこと。
…といった感じです。

Houdiniは優しいツールですので実は初心者向けのチュートリアルは非常に充実しています。ここでは私が実際にHoudiniを勉強した際に役に立ったチュートリアル等をご紹介致します。

・SideFX公式。Houdiniは公式サイトからかなり初心者向けに丁寧なチュートリアルが提供されています。これだけ丁寧な公式は私の知る限り他にはUnrealEngine位です。
https://www.sidefx.com/ja/learn/getting_started/

・無料で公開されているCGWORLDのHoudini導入講座。これ以降の有料チュートリアルもどれもおススメです。
https://tutorials.cgworld.jp/set/444/con/386

・講師もされている佐久間氏によるHoudini本。最初の方の基礎解説はとても丁寧なので一読の価値があります。しかし、それ以降は数学とプログラミングの内容が多めの応用書のようになっているのでプログラマーやTAの方以外が何の知識もなしに読み進めていくと高確率でHoudiniを挫折する可能性があります。ご自身の理解度に合わせて読み進めていくと良いでしょう。
https://www.borndigital.co.jp/book/6342.html

・フリーランスのHoudiniアーティストの北川氏によるエフェクト本。エフェクトアーティスト及びエフェクトをやろうという方は高確率で手に取る本だと思います。Houdiniの進化は早いので既にこの本で紹介されている手法の一部もレガシーなアプローチになっていたりしますが、それでも解説が丁寧でHoudiniのエフェクトに慣れるという点でも非常に有用な資料です。
https://books.mdn.co.jp/books/3217303011/

・海外でハリウッド映画等のVFXで活躍されているMasayaSugimura氏が年1回開催しているオンラインワークショップ。私はエフェクトアーティストということもあり、実際に映画のVFXの最前線でHoudiniを使っている方がどういった考え方や手法で作業をされているかを知ることが出来て非常に有意義でした。
http://sugi-iggy.blogspot.com/p/workshop3.html
https://twitter.com/sugiggy

・YoutubeやVimeo等のTips。
Houdiniはツールの進化が早く、本やネット記事等の知識が過去のものになりがちなので時代に応じてフレキシブルに動画サイトで最新のチュートリアルを漁るのは非常に有効です。

他にも色々ありますが、ひとまずこれ位でしょうか。繰り言になりますが大事なのは自分の得意分野から学んでいくということです。

Houdini移行のタイミングとは?

Houdiniを使っていると、「あ、これ便利だなぁ。他のツールではこれはできないからHoudiniでやるか」「Houdiniで簡単にできたことが他のツールで難しいor出来ない」「しばらくHoudiniばかり触っていたら他のツールが凄い使い辛く感じる」と、いったように他のツールよりHoudiniでやった方が良い・便利だと感じる場面が増えてきます。そういった要素から徐々にHoudiniで作業するようにしていくと、最終的には自然とHoudini移行や一部作業はHoudiniでといったスタイルにできると思います。

私がそういった気付きを得たタイミングをいくつかご紹介いたします。

・ジオメトリスプレッドシートが使いやすく感じた時。
Houdiniユーザーの多くが重要だと口を揃えて言うジオメトリスプレッドシートですが、最初の内は「なんだこれ?何が重要なの?」って感じかと思います。しかし、Houdiniを使っているうちに全情報が分かりやすく表示されている利便性の高さに次第に気づき、自然とよく見るようになります。そこに至るとHoudiniユーザーの多くがジオメトリスプレッドシートが重要だと言っている意味を実感し、逆に全情報を素早く確認しアクセスできない他のツールにストレスを感じるようになりました。

・軽量で使いやすく強力なマルチフィジクスソルバの存在。
Houdiniにはvellumというクロスシミュレーション等に使用する軽量で使いやすいマルチフィジクスソルバがあるのですが、考えてみると同レベルで使いやすく軽量なツールは中々無く、しかもネイティブに実装されているものとしては唯一無二だと気づいた時。

・サブステップ無しのオブジェクトベースで、’’velocityで元のオブジェクトを伸縮させず’’に’’形状をvelocityベースのように伸縮させる’’火花系のパーティクルが簡単に作れると知った時。
極めてエフェクトアーティスト的な項目で恐縮ですがコレは個人的にかなり重要でした。上記画像は何気ないパーティクル画像ですが、この手のものを上述した考え方で作ろうとすると中々難しいです。
私の知る限り3dsMaxのthinkkingParticlesで色々と仕込めばできるかと思いますが、そもそもthinkingParticlesは3dsMaxのネイティブツールではないので会社や環境で使用の有無が左右されてしまいます。
完全にオブジェクトベースでサブステップ無しで形状調整や細かい調整ができ、且つ伸縮がvelocityではない形でvelocityのような挙動を簡単に作れるツールというのは中々ありませんし、それでいて取り回しやすいのでコレはHoudiniの明確な利点で使う理由になりえると実感しました。

・Houdiniネイティブで、3dsMaxでプラグイン込みで作るショックウェーブと同じものが作れた時。
ショックウェーブの作成手順は3dsMaxでもHoudiniでも同じなのですが、3dsMaxの場合はFumeFX・Krakatoaというプラグインがほぼ必須で、これまた会社や環境で使用の有無が左右される不安定さと、3dsMax・FumeFX・Krakatoaという実質三つのツールを跨ぐ煩わしさがあります。これがHoudiniだと一つのツール、一つの考えの元に作業出来て非常にスームーズで「Houdini良いなぁ」と実感しました。

・レンダリング設定が楽。
レンダーレイヤーや複数のレンダリング設定的なものが手軽に分かりやすく作れるので、これに慣れると他のツールのレンダリング設定周りが煩わしく感じるようになります。

・Houdiniなら画像のようなオブジェクトを非破壊でサクサク作れるが、他のツールでは同じことが同じようにはできないと感じたとき。
非破壊なので元のオブジェクトを自在に変更できるし、実際やっていることは同じような作業を少しずつ手法を変えて繰り返しているだけなので仕組み自体は簡単で調整しやすいのですが、これを同じように非破壊で調整しやすい仕組みでMayaや3dsMaxで作るのは難しいだろうと感じ、Houdiniの明確な利点を実感しました。

以上、私がHoudiniを「良いなぁ」と感じ、気付きを得られたポイントを一部ですがご紹介いたしました。私はエフェクト周りが主な生業なのでエフェクト関係で気づきを得る機会が多かったですが、他の業種の方もそれぞれ「Houdini良いなぁ」と感じるポイントがあるかと存じます。

Houdiniをゲームの仕事でどう使うか?

実際に有効活用された例として、GDC2019でのインソムニアック・ゲームズ様のカンファレンスがタイムリーですのでご紹介させて頂きます。
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1175860.html
https://www.famitsu.com/news/201903/22173643.html

また、エフェクト作成においてどういった活用法があるかという点に関しましてはSEGA様のHoudiniプロフェッショナルの伊地知氏が紹介して下さっておりますのでこちらもあわせてご紹介させて頂きます。
http://techblog.sega.jp/entry/2018/01/25/100000
http://techblog.sega.jp/entry/2019/02/28/180000

上記で紹介した内容はHoudiniならではの手法ですが、無論従来通りのレガシーな手法にもHoudiniは当然使うことが出来ます。レガシーな手法はやはり確実で実績があるアプローチなので未だ使用される機会も多いですが、そればかりでは時代に対応できずに埋もれていってしまうので時代に即したアプローチもできなければなりません。
Houdiniはレガシーと最先端の双方に対応、或いは時にそれらをミックスして使うことのできる柔軟性を持ち、ツールの進歩も早く将来性も見込めるという点が非常に大きなメリットであり、メインツールとして使う理由になり得ると思います。

終わりに

私自身、Houdiniは2回挫折して3度目に覚悟を決めて学び直し初めてようやくHoudinistとしてのスタートを切ることができたので、最初の一歩に躓く方の気持ちはよく分かります。
公式tutorialはとても丁寧ですが、初めてやった時は「だから何?」「これ実際仕事でどう使うの?」といった感じであまり身につかずに終わったのを覚えています。
ですが、挫折しながらもそうやって少しずつ知識を蓄積していったからか、3度目に学び直し初めてからはスムーズに最初の何も分からない状態を脱することができました。
マインドセットの影響も大きく、「Houdiniだからといって何もかもを覚える必要はない」「自分の得意分野から覚える」「アーティストにはアーティストの勉強法がある」と、思考を定めてからはグイグイHoudiniを覚えていくことができました。

今回は導入編として私のそういった思考の変遷も含めてご紹介した次第でございますがいかがだったでしょうか?
次の機会がございましたら、今度はより実践的なTipsやテクニックをご紹介できれば良いなと存じます。

最後までお目通し頂きありがとうございました。

はじめに

こんにちは!KLab株式会社クリエイティブ部 サウンドグループのいっちーです。

2018年11月6日『KLab×SQUARE ENIX×gumi』ソーシャルゲームサウンドMeetup!
を開催した話をさせていただきます。

「ソーシャルゲームサウンドMeetup!」って何?

ソーシャルゲーム業界で活躍するサウンドクリエイターたちが
会社の枠を超えて集まり、ソーシャルゲームサウンドならではの考え方や解決方法について発表する勉強会及び交流会となっています。

リリースした後も運用が続くソーシャルゲーム業界のサウンドクリエイターだからこそ
抱える問題を、「もっと多くの人と共有し合い、お互い影響し合いながら
良いものを作っていく流れが出来たら。ゆくゆくはソーシャルゲームサウンド業界
をもっと元気にするキッカケが作れればなあぁ。」という思いから出来た勉強会です。

開催までの道のり~必要な準備~

場所や環境の確保

KLabにはもともとKLabクリエイティブ勉強会というものがあり、
勉強会運営チームもあったため「こういう勉強会をしたいんです!」
と相談すると必要な手順を教えてもらえる環境がありました。今回も勉強会運営チームにアドバイスをいただき開催準備を行いました。

講演内容の準備

勉強会への考えを他社の皆さんに話し、賛同していただけた株式会社スクウェア・エニックス様、株式会社gumi様のサウンドクリエイターの方たちと登壇内容の打ち合わせを行いました。話をしていて思ったことは、、、

「お互い自分たち(自社)にとって当たり前のことが他社にとっては目からウロコのようなことが多々ある!」

そもそも会社外の同業者同士でじっくり話すことって少ないですよね。。。

ということに気が付きながら、内容を詰めていきました。

情報を一般公開

内容が固まり、開催日約3週間前に情報を一般公開し、
CONNPASS上で参加者の募集を開始しました。

すると、、、約1日半でチケットが埋まり抽選状態に!

想定していたよりも反響があり、設営スタッフも増やしてもらい準備万端です。

開催当日

多くの方にご来場していただき、各社様の仕事への考え方や方法を伝えることが出来ました。懇親会でも様々な方とお話しさせていただき、意見交換の場を作れたことは有意義だったと思います。

▼当日の様子

下記に発表した内容の資料をアップしていますので、ご興味ある方はぜひ読んでいただければと思います☆

ソーシャルゲームサウンドMeetup!

まとめ

初めての開催のため至らない点も多々あったかと思いますが、多くの方に力を貸していただき開催させることが出来ました。また、今回ご参加いただいた方の多くはサウンド職の方でしたが、サウンド以外の職種の方に来ていただけたこともとても嬉しく思います!

サウンドはサウンド以外の職種の方と理解し合えないと上手く進められないことが多いので、どういったことをしているのか他職種の方にも興味を持っていただければ幸いです☆

KLab sound team が関わるイベント情報や技術TipsはTwitter上でも公開しています!